今年も秋がやってきて
たくさんの鮭が帰ってきた
遊農くらぶ鮭孵化事業の紹介
鮭漁は9月に解禁となり翌年の1月まで。米の収穫や出荷作業が終った組合員さんたちが、鮭の戻りを見ながら人工孵化作業へと移行していきます。遊農くらぶの尾形さんたちも、お米の収穫が終了すると、川にのぼってくる鮭の孵化事業をはじめます。
孵化場に運ばれた卵は、暗くて静かな場所に保管され、卵の成長を促していきます。
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孵化するまでに保管されている場所は二種類あります。
ここは下に砂利を敷いた広い水槽です。
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卵が徐々に成長し、鮭の目がはっきりと認識できるようになります。
小さな鮭が見えるでしょうか。
こちらは砂利を敷いた水槽の鮭。フラッシュ撮影したのでこんな色。
孵化場の仕事は場内の水槽のすべての掃除からはじまります。きれいな水を好む鮭は沈殿している餌の残りもそのままにしておくと命取り。常に清潔な水槽を保っていかなければなりません。孵化場内にコンクリート製のプールが約20層くらいはあるでしょうか。すべてを毎日お掃除します。
鮭の餌です。このバケツはすべて餌の大きさや栄養がちがいます。六段階にわけてあります。
【孵化】
水温10度で25日を経過すると、卵の中に黒い目が現れる発眼期に入ります。その後、白く変色した卵や不受精卵を一個ずつ取り除く検卵作業が行われ、さらに約20日位で孵化が始まります。
【稚魚】
孵化したばかりの稚魚は、目以外は透明な姿をし、お腹に「さいのう」と呼ばれる栄養源の赤い卵黄をつけ泳いでいます。それが2~3週間後にはメダカのような色となり、1ケ月後には餌付けを始め、体長が5~6センチ、体重が1グラムになる3月中旬に川へ放流されるのです。
升川鮭孵化場は歴史も古く、石碑もたっています。
メスは産卵の為体内(お腹の辺り)の脂肪を消費してしまっているために、新巻や粕漬けなどに加工するのはオスの鮭なんだそうです。でも近年は新巻などの需要が減り、卵しか商品価値がなくなってきているそうです。人間の価値観の移り変わりには困ったもんだと、組合員の方々も嘆いておられました。
余分な鮭は廃棄処分になってしまうわけですが、こちらの組合ではそれではもったいないと、有機肥料づくりに取り組んでおられます。最近家庭用でも生ゴミ処理機が話題ですが、あの業務用装置を導入し、鮭のアラと”おから(豆腐のかす)”を混ぜて分解し、とても良質な肥料を作りだしてます。その名も「鮭パワー」(なんともベタな…^^;)
無農薬栽培に取り組んでいる「遊農くらぶ」では、夏の「だだちゃ豆」やその他の野菜類の栽培にこの肥料を使いとてもいい成果を上げられています。
鮭を育てて放流し、戻ってきた鮭を加工して、残りは有機肥料となり畑の肥やしとなる。これぞ究極のリサイクル農法を実践されています。恐れ入りました。