昔から各家庭で作られていた笹巻きは、家族や親類、縁者のために心を込めて作られてきました。
たとえば「五月のお節句」や「七つ祝い」というお祝いの席のご馳走として作られたり、お嫁さんが実家に行く時の手土産だったりと、この小さな三角の笹巻きは、作り手の優しさの象徴だったのです。
懐かしいあの人この人の顔を思い浮かべながら笹巻きを巻くのも、家族や近所の人たちと笑いさざめきながら味わうのも、この季節の楽しみなのです。
もち米は収量も少なく高級品です。しかも粒のまま使うとなれば、ごまかしも効きません。ですから粒のままのもち米を笹の葉で包んで茹でる食文化は、豊かな米どころに咲いた、ハレの食文化なのです。