標高250mの月山高原に位置する鈴木農園では、8000本以上のブルーベリーが無農薬栽培され、その規模は日本一の広さを誇ります。
ここからは月山や鳥海山、そして日本海を望むことができる絶景ポイントですが、冬は雪も多く風も強い厳しい自然環境。しかしそれはブルーベリー栽培には最適な場所でもあったのです。
それは一目惚れからはじまった
代々専業農家を担ってきた鈴木さん。30年前、転作にする作物に何が良いか模索していた時に<ブルーベリー>との出会いがありました。可憐なブルーベリーの花や実を見て鈴木さんは一目惚れ。さっそく国内のブルーベリー栽培では第一人者である長野の農園に何度も通い研修を重ねながら勉強し、翌年1000本のブルーベリーを植え、栽培がスタートしたのです。
そして現在は、東京ドーム2.5倍の園内に約8000本のブルーベリーを栽培する日本一の規模に成長しました。さらに実を摘み取って食べることができる「観光農園」でのお客様とのふれあいは、鈴木さんのなによりの楽しみ。家族の笑顔を見たり、会話を聞いたりすることで、これまでの苦労が報われるようだとおっしゃいます。
収獲のよろこびが苦労を忘れさせる
ブルーベリーの品種は200種以上。さらにいくつかの系統にわかれていて、気温や気候によって適応する地域は異ってきます。鈴木さんが栽培をスタートした1000本のうち、品種は7~8種を試しました。栽培を進めていくうちには枯れたものもありましたが、試行錯誤を重ね毎年500本ずつ増やし徐々に栽培面積を広げていきました。
もともと病気や害虫に強いブルーベリーですが、デリケートな部分も多く、土壌改善や有機肥料の選択、さらに雪から守るため木の雪囲い、枝きりや除草、そして収獲と、ほとんど人の手による作業の連続です。
栽培をスタートさせてから三年。様々な苦労を重ねながらも、一目惚れをしたブルーベリーが収獲できるほどに成長しました。可憐な実はこれまでの努力の賜物。特別な思いがあったにちがいありません。以来「手をかけただけ、素晴らしい実をつけてくれる」と手間隙を惜しまず愛情をタップリと注いでいるのです。
笑顔が溢れる観光農園
ブルーベリーが旬を迎えると観光農園がオープンし、ブルーベリー狩りを楽しもうと県内外から4000人以上の人たちが訪れています。家族やカップルたちがブルーベリーを口に運びながら、「おいしいね!」と笑顔になる様子を見ると、鈴木さんはブルーベリーを育てていて本当に良かったと心から感じるといいます。
農園を訪れる人たちも「ブルーベリーがこんなに美味しいと思わなかった」とか「自然がいっぱい、景色とたくさんのブルーベリーに癒される」と、毎年いらっしゃるお客様もたくさんいらっしゃいます。こういったふれあいが、鈴木さんにとって何よりの喜び。苦労しながらもブルーベリーを育てる張り合いとなっています。
摘み取りができる畑にも様々な品種のブルーベリーが育っていて、木のそばに案内されているものだけでも<スパータン><ブルークロップ><デキシー>など10種類。どの品種がお気に召すか食べ比べるのも楽しいですね。