12月~3月までの真冬に咲く桜です。
昭和5年のこと。
福岡県久留米市の良永啓太郎氏が、シナミザクラにコヒガンザクラを繋ぎ誕生したのがこの桜。
作者の名前をとり「啓太郎桜」と命名されましたが、のちに啓太郎氏を慕い「啓翁桜」という名前で流通されるようになったようです。
バラ科サクラ属の落葉低木で、自然に咲く啓翁桜の開花時期は3月の中旬から下旬。樹高は3メートルから5メートルくらいになります。
山形県がこの啓翁桜の促成栽培を始めたのは昭和40年代半ば頃からで、いまでは日本一の出荷量を誇っています。
雪深い山形の地で、いち早く咲く桜が栽培されるとは以外に思われるかもしれませんね。
冬に咲く啓翁桜の仕組み
山形の秋は早く、啓翁桜は早くに休眠にはいるため、その分早く開花の準備が終わることになります。
さて、促成栽培の仕組みをご紹介しましょう。
【1】11月頃、圃場から休眠に入った啓翁桜の枝を切り、8度以下の低温にさらされる場所にたっぷり500時間以上保管します。この時、低い温度のほうが花色が鮮やかになるそうです。
【2】12月、たっぷりと休眠している啓翁桜は温湯処理や薬品処理され、徐々に目を覚ましはじめます。
【3】啓翁桜はハウスに移され、徹底管理された温度のなかで過ごします。すると啓翁桜は「春が来た~」と思い、蕾をふくらみ始めるのです。